インドネシアテスト焙煎・カッピング情報




10/22(水)・23(木)にテスト焙煎・カッピングを行いました。
ブルーバタック・マンデリンとTimTimを焙煎度:中煎り・中深煎り・深煎りの3段階で焙煎して、翌日、カッピングで香味を確認しました。
(テスト焙煎、カッピングの詳細は、以下のとおり)

 

中煎りでは、インドネシアの特徴的なアーシーフレーバーがどちらからも感じられます。
ですが、煎りが深くなるにつれ、ぞれぞれの豆の個性が現れました。
ブルーバタックは、煎りが深くなると、アーシーフレーバーはそのままにコクが増していく印象です。
TimTimは、中深煎りからアーシーさは影を潜め、煎りが深くなるにつれ果実が熟していくかのように甘さが際立ってきます。
松屋式ドリップで試飲もしました。この2つは、どの焙煎度合いでも楽しめる珈琲です。
しかし、深煎りではスモーク臭が香にプラスされて純粋な香が分かりづらく、中煎りでは、スパイシーさと酸味のバランスが
絶妙という程ではありませんでした。
「香味の違いが明確で、かつ、美味しい」を考慮して、2つの生豆を同じ焙煎度:中深煎りの珈琲に仕上げることにしました。

 

どちらもスマトラ島で作られています。生産・精製工程、マイクロクライメイトによるフレーバーの違いは、お分かり頂けると思います。
それだけでなく、次のような、TimTimの生産における歴史的な背景と現地の想いを踏まえて、ご賞味頂きたいと思います。

 

TimTimが生産されているアチェ州は、かつては、アチェ王国というイスラム文化の一国でした。
植民地時代、第二次世界大戦を経て、インドネシア独立直後、北スマトラ州の一部となりました。
その後、豊富な資源に恵まれながらも、資源がもたらす利益は中央政府に吸い上げられ、地元に還元されないことに住民の不満は
高まり、独立運動に発展していきました。最近まで独立運動が盛んだったことは記憶に新しいことでしょう。
独立気運が高い土地柄なこともありますが、ガヨの生産者の中には、マンデリンとは一線を画したいと願う生産者がいます。
それは、アチェという地域の風土が作り出す産物に誇りを持っているからです。
このTimTimは、そんなガヨの人達の気持ちがこもった珈琲です。どうぞ、マンデリンとの風味の違いを存分にお楽しみください。

 

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中煎り 左:ブルバタック・マンデリン、右:TimTim

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どちらも甘いスパイシーな香。ブルーバタック・マンデリンの方がアーシーフレーバーが強い。
TimTimは冷めるとフルーツトマトのような酸味が現れ、フレーバーが変化したことが特徴的だった。

 

中深煎り 左:ブルバタック・マンデリン、右:TimTim

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TimTimは中煎りよりアーシー差が減り、甘い香が増した。
ブルーバタックは酢酸系の酸味、TimTimはピーチのような果実味の甘さが印象的だった。

 

深煎り 左:ブルバタック・マンデリン、右:TimTim

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どちらもスモーク臭が香に混ざっている。ブルーバタックはコクが増し、ドライトマトのようなフレーバーを感じた。
TimTimはシルキーな口当たりにブランデーのようなフレーバーを感じ、最も甘かった。アーシー差はほぼない。


テスト焙煎
ブルーバタック
水分量:11.4%
焙煎時間
中煎り :16:17
中深煎り:16:25
深煎り :16:59
TimTim
水分量:11.5%
焙煎時間
中煎り :16:00
中深煎り:16:38
深煎り :18:31

 

ディスカバリーで焙煎したときの感想を少し書きます。

大きな焙煎機と違って小さな焙煎機はほんの少しの操作で挙動が変わります。
蒸気が多く入ったり、少なくなったりそんなことで差圧が変化したり排気の上昇率が変わったりします。
つまり、小さい焙煎機ではすべてのグラフをそろえるぐらいまで詰めないと同じ味にならないのです。
そのときにポイントとなるのがグラフが上昇するのか停滞するのが下降するのか判断することと、その現象がなぜ起きたかを考えることです。

特にティムティムやブルーバタックでは蒸気を止めた後グラフに特徴が現れます。

その辺の現象をすこしづづつぶしていきたいと思います。

現在わかっている現象としては、通常のスタンダードを焙煎する場合は蒸気を送り込んでいくと差圧が大きく下がる現象を起こします。

これはこの段階で豆が膨らんで排気の通りにくさを表しているものです。

それに対してティムティムやブルーバタックでは、そのタイミングでは差圧が全く落ちないのです。

つまり豆がその段階で膨らまないまま温度が上がっていくことになります。

そのため、白くなってから茶色にならずにそのまま茶色になる特徴を持ちます。

この現象を理解した状態ならば業務用の焙煎機で焙煎したときに慌てずに済みます。

煎り止めに関してはディスカバリーで、焙煎したものをカッピングや松屋式で検証したので大丈夫だと思います。

生豆の特性がグラフにあらわれるそんな風になっていく予感がします。